降圧薬治療薬はどのようなものがあるの?

現在、高血圧の治療において用いられる主な薬(降圧薬)には以下のようなものがあります。ここからは、それぞれの特徴をご紹介します。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管を拡げて血圧を下げる、最もよく使われるタイプの薬です。ジヒドロピリジン系とベンゾジアゼピン系とがあり、降圧目的ではジヒドロピリジン系が主に用いられます。

主な種類:アムロジピン(商品名:アムロジン・ノルバスク錠)、ニフェジピン(商品名:アダラート錠)など

主な副作用:動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉増生や便秘など

注意点:グレープフルーツやセントジョーンズワートとは併用しないでください。

ARB

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、Ca拮抗薬に次いでよく使用されている降圧薬です。血管の収縮を抑えることで血圧を下げるはたらきがあります。長期的に腎機能の悪化を抑えるといわれています。妊娠中・授乳中の方は服用できません。

主な種類:ロサルタン(商品名:ニューロタン錠)、テルミサルタン(商品名:ミカルディス錠)、イルベサルタン(商品名:アバプロ錠)など

主な副作用:めまいなど(ただし頻度は低い)

注意点:慢性腎臓病患者さんが初めて内服する場合、腎臓機能が低下することがあるので要注意です。

ACE阻害薬

昇圧系と呼ばれ、血圧を上げる働きを持つ血中のレニン・アンジオテンシン(RA)系を抑制して血圧を下げます。冠動脈疾患の発症リスクを抑えるということがわかっています。

主な成分:カプトプリル(商品名:カプトリル錠)、エナラプリル(商品名:レニベース錠)、アラセプリル(商品名:セタプリル錠)など

主な種類:作用する過程で、体内で増えるブラジキニンという物質による空咳がみられることがあります。2~3割の方に投与後1週間から数ヶ月で見られ、服用をやめると症状はすぐになくなります。この副作用の空咳が、かえって高齢者の誤嚥性肺炎を防ぐのに有効だという報告もあります。

注意点:一部の糖尿病治療薬と併用した場合、血管神経性浮腫(突然皮膚や喉、舌などが腫れ、息苦しくなる症状)が起こる場合があります。もしもこの症状がみられた場合、ただちに医師や薬剤師に連絡してください。また、ARBと同様に慢性腎臓病患者さんが初めて内服する場合、腎臓機能が低下することがあるので要注意です。

利尿薬

日本人は塩分摂取量が多く、食塩摂取量を減じることで下がる高血圧が多いので、高血圧治療においてはまず減塩することが重要です。減塩が困難な患者さんの場合、利尿薬を少量から服用することがあります。利尿薬は塩分(Na)を尿からの排泄を促し、血圧を下げる薬です。

主な種類:トリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン錠)、ベンチルヒドロクロロチアジド(商品名:べハイド錠)、ヒドロクロロチアジド(商品名:ヒドロクロロチアジド錠「トーワ」)など

主な副作用:低ナトリウム血症、低カリウム血症などの電解質異常、耐糖能低下、高尿酸血症などの代謝系への影響がみられることがあります。

注意点:塩分の排出を促す際に、正常だった体内のカリウムも減りすぎて低カリウム血症になることがあります。低カリウム血症予防としては、カリウムを排出しないタイプの利尿薬やカリウム製剤を併用したり、果物などを積極的に摂取したりします。

β遮断薬

血管を拡げ、昇圧系を抑え、心拍出量(心臓から血液が送り出される量)を抑えることで血圧を下げます。高血圧と診断された後、最初に使う第一選択薬からは外れていますが、必要に応じて使用することのある薬の一つです。

カルベジロールのようなαβ遮断薬は代謝性の副作用を示さなかったという報告があります。

主な種類:アテノロール(商品名:テノーミン錠)、ビソプロロール(商品名:メインテート錠)、ベタキソロール(商品名:ケルロング錠)など

主な副作用:作用の影響で脈拍数が減少する徐脈があります。また、糖・脂質代謝に悪影響を及ぼすことがあります。

注意点:喘息患者さんは服用することができません。

高血圧症診断基準

高血圧になる場合、自覚症状があまりありませんから、病院で診察を受けるとき、症状がひどくなってしまったり、またいろいろな合併症が現れてくることが多いです。それで、高血圧症診断基準、特に自宅で高血圧かどうかを判断する診断方法を身に付けることは重要だと認められています。今、高血圧症診断基準は主に診察室血圧と家庭血圧という二つの診断基準があります。一般的に血圧の正常値は「収縮期血圧140未満、拡張期血圧90未満」で、高血圧の場合は「収縮期血圧160以上、拡張期血圧95以上」です。

血圧の基準として広く採用されているのが、WHO(世界保健機関)/ISH(国際高血圧学会)、米国高血圧合同委員会による分類です。日本では、2014年4月に改訂された日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2014」が基準となっています。ガイドラインによると、診察室で測定した血圧(病院・診療所等で医師・看護師により測定された血圧)が140/90mmHg以上、家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上を、「高血圧」としています。

家庭用血圧計で毎日同じ条件で測定することが、正確な診断のためには重要です。高血圧家庭診断は便利で高血圧の予防と改善に特別な作用があります。高血圧と正常血圧の値は「正常高値血圧」と呼ばれ、将来高血圧になる可能性が高いとされています。なお、年齢により血圧の標準は異なり、高齢であるほど高くなる傾向にあります(血圧の高い方が多いため)。標準より高い場合は、血圧を下げ、まず標準値を、さらに正常値を目指すことが大切です。

高血圧の合併症の基本知識

高血圧の場合、自覚症状があまり現れていない時、病状がもう進んでいろいろな合併症を引き起こすことができますから、高血圧はサイレントキラーとも呼ばれています。高血圧の合併症と言えば、動脈硬化、脳に関する病気、心臓病、腎臓病などの病気があります。

動脈硬化
高血圧で動脈硬化が起こりやすいです。動脈硬化とは、血管が弾力を失ったり、血管の内腔が狭くなる状態をいいます。高血圧が続くと、血液の圧力に耐えるために、動脈の血管壁が厚くなり、血液が流れる内腔は狭くなります。また、血管が傷つくと、コレステロールなどの脂質がたまりやすくなり、さらに内腔は狭くなります。そうすると、血液の流れる抵抗が増え、血圧はますます上昇します。つまり、高血圧→動脈硬化→高血圧、という悪循環が、さらなる動脈硬化を促進するのです。

脳に関する病気
脳に関する病気は高血圧と深い関係があり、高血圧を放っておくと動脈硬化が進み、脳梗塞や脳出血といった脳に関する合併症が突然起こることがあります。重症になると死に至ることもありますから、注意してください。血圧を安定した状態に保つことでかなり高血圧の合併症の予防に重要だと言われています。

心臓病
高血圧の状態が続くと、心臓の働きが低下して血液の循環がうまくいかなくなり、動脈硬化を促進して常に狭くなる場合、狭心症、心筋梗塞を引き起こすことが多いです。

腎臓病
高血圧が長期間に続くと、腎臓の血管に動脈硬化が起こります。このため、血管の内腔が狭くなり、腎臓へ流れる血液量が減ってしまうので、腎臓そのものが硬くなり機能も低下します。これが腎硬化症です。また、腎臓機能の低下も高血圧症状を悪化させることができます。